めちゃくちゃ文章が上手いという感じはないけど、淡々と書かれているようでけっこう先を急いで読みたくなるのだから、やはり上手いんだろう。それでいて、時おり激昂したような迸る文章が、僕の知ってる「エネルギッシュなおっさん」に共通したところを感じさせる。
特に後半、前線の「ベン・キャット砦」に赴き、そこで実際の作戦に従軍してのレポートは圧倒的迫力がある。この時の写真で放心したように見える著者の写真が、このレポートに凄みを加えている。
そもそも開高健がベトナム戦争取材に行ったことすら知ったのはつい数年前のことで、それまで「釣り好きの作家」くらいのイメージしか持っていなかったので…たいへん失礼しました。戦争を通じて人間を見ていたのが、時を経て釣りを通じて人間を描いていた、と考えるのは思い込みが激しすぎるかな?
戦争映画でも写真でも観て思うけど、アメリカってどこの戦争に行っても自国での生活を持ち込もうとするんだねぇ。素直に感心もするけど、そうしないと兵士のメンタルもフィジカルも維持できないのかって考えもする。「欲しがりません勝つまでは」とは大違いだな。
それと、ベトナム戦争においては何と記者に便宜をはかってくれたものかと思う。そして、現地での兵士たちの率直な真情の吐露が、何の検閲も受けずに世の中に出たことへの驚き。イラクの情報は、このようには入ってこない。
2006年6月29日 通勤の東海道線車中にて読了
