ご存知の通り「蛇頭」とは中国人密航者を手引きすることをビジネスとしている者の俗称だが、この本は密航者・蛇頭それぞれにインタビューした記録をまとめてあり、一方的な立場からの取材で無い点はありがたい。立場が変われば密航に対する考え方も変わるだろうし、その費用が搾取なのか正当な対価なのかと言う意識も変わってくるであろうから。
スネークヘッドが必ずしもマフィアつながりではなく、場合(国)によってはむしろ政府や軍の偉いサンが関与していたりするくだりは実に面白く、そういう国々の経済状況を伺わせる。取材・執筆が10年ほど前であり、こうした情勢が変わるのにその後の歳月は十分すぎるほどある。願わくば「蛇頭その後」的な作品を上梓して欲しいものだ。
なおノワール小説で一部に人気のあるらしい馳某の解説は笑止。
2006年7月12日 会社帰りの中華料理屋にて読了
